ページ博物館

　10万年以上前、この Rancho La Brea地区は太平洋の海でした。地下には海洋の沈殿物による石化燃料ができ、4万年前には避け目などで地上に浸み出てきて、低地に貯まります。そして、わずかに凝固しているタールの上を、砂や葉っぱなどが薄く覆い、うっかり踏み込んで足を取られ動けなくなってしまった生き物が非常に良い保存状態で発掘されています。
　開拓時代から化石の存在は知られ、原油を採掘する塔が林立していましたが、不動産業などを営む慈善家George C　.Pageの寄付で、1977年この発掘の地に博物館が開館します。

　博物館の中央には、水族館のようなガラス張りのなかで、化石の取り出し作業をしているのを見ることができます。今での数々の化石が発掘されています。タールに浸っていましたので、どの化石も茶色になっていたりしますが、洗浄するのも大変なことです。
　小学校の学習見学でしょうか、小さな子供たちがガラスをなめるように見ています。出口にMuseum Shopがあります。これぞというものはありませんでしたが、記念にＴシャツを購入。

こちらは絶滅したアメリカン・ライオンのSkeleton（骨格）です。80体が復元されていますが、2/3 はオスです。ほかピューマやオオヤマネコ（Ｌｙｎｘ）、ヒョウなどたくさんのネコ科の肉食獣も発掘されています。

　Page Museum への行き方はLos AngelesのDowntownからタクシーでWilshire Blvdを西に２0分、＄21で辿りつきました。Hancock Parkになかにあり、タクシーの運転手にはＬＡ　County Museum of Artの西隣と言って理解してもらいました。帰りは少し離れた停留所からバスを使い、Downtownまで＄1.5でした。

　ここの目玉はＺｅｄと名附けられたColumbian Mammothです。高さ４ｍ、10トンの体に２ｍの螺旋状の牙を持っています。
　ただ、牙はタールで溶けていたので、どこかのレプリカをはめているそうです。

　ここGeorge C.Page Museum & Tar Pits には道路舗装にも使われるタール（アスファルト）に足を取られた、たくさんの動物や鳥、虫などの化石を展示しています。氷河期のコレクションとしては世界第一の博物館です。

　
Wilshire BlvdからLake Pitに足を取られる象が見れます。
奥の白い建物がPage Museumです。

最初に目に入るのはゾウの祖先になる、American Mastodonです。370万年前から生存していたと考えられています。長さ5ｍを越えるものもあるそうです。牙の先が象などと違うらしいです。
　そして同じ展示台にはラクダの骨格です。北米では1万年以上前に絶滅しますが、アジア、アフリカに渡り、また南米に行きアルパカやリャマになります。
　壁面には夥しい数の化石があります。最も多く発掘された肉食系犬のDire Wolfや　ヘラジカ、バイソン、クマ、コンドル、虫などの化石が並べられています。洪積世のコレクションとしてPage Museumは世界最大で1992年で350万もの標本が集められ、うち１万点以上は脊椎動物です。
　牙を持ったネコ科もたくさんあります。4～５歳ぐらいの小さな女の子が、おばあさんでしょうか、手を曳かれて見入っています。ジェラシックパークか映画「アイスエイジ」にダブらせているのでしょうか。
　限られた有史しかない、アメリカ人にとって、自然史への関心は日本人とは比べ物にならないくらい熱心です。

　最初にベーリング海峡を渡った人類がアメリカ大陸にきたのは、４万年前と考えれていますが、この地でタールを接着剤に使って土器の修復をしてます。３～９千年前のヘアピンなどが残っています。
　日本の縄文時代にも石鏃を矢にとりつける接着剤として新潟あたりから出るタールを用いていたことを思い出します。